月見台の洋館付き住宅

その民宿風の建物とは所謂商人宿。市内各所にビジネスホテルができるまでは毎日たいへんな忙しさだったとか。建物は築後80年以上経た和風建築。外観は質素に見えるが、内部の造りは重厚そのもの。梁や柱は十分に太く、長年よく拭き込まれて飴色に輝いている。天井板は銘木の一枚物。建具類もまだまだしっかりしている。中でも圧巻は鴨居で、幅は少なくとも30cm(通常は5~6cm)はある。関東大震災直後に建てられたため総てが頑丈に造られている。

特徴は耐震仕様だけではない。「洋館付き住宅」でもある。
洋館付き住宅とは、大正時代から昭和の初期にかけて全国に多く建てられた、玄関脇に急勾配の三角屋根の洋館(洋間)が付いた和風住宅のことです。宮崎駿のアニメ映画「となりのトトロ」や谷崎潤一郎の小説「痴人の愛」などの舞台にもなり、愛知万博でも「サツキとメイの家」として再現されました。・・・
と、よこはま洋館付き住宅を考える会のホームページに見える。昭和30年代頃まで、保土ヶ谷にはたくさんの洋館付き住宅があった。中でも月見台・霞台・桜ヶ丘地区は、全国的にも特に密度の高い地域だったとか。当時そうした家に住む同級生も少なくなかったが、「洋館付き住宅」という言葉を知らず、「出窓・暖炉・絨毯、ピアノがある、お大尽が住むモダンな家」と認識していた。最近「歴史的建物」として一躍脚光を浴び、某大学にはそのための講座までできたそうです。

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